お知らせ
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作成日:2015/09/30
個人事業者の「必要経費」について重要な判断が下る 〜最高裁平成26年1月17日決定〜の解説



 個人事業の必要経費に関する基本となる規定が2つあります。
「〜収入金額を得るために直接に要した費用の額〜」所得税法37条1項
「その主たる部分が業務の遂行上必要であり〜」所得税法施行令45条1項

 この規定について国税は「必要経費になるかの判断は、事業の業務と直接関係を持ち、かつ、専ら業務の遂行上必要といえるかによって判断すべきである」と主張しました。東京高裁は「事業の業務と直接関係を持つことを求めると解釈する根拠は見当たれず、直接という文言の意味も必ずしも明らかではないことからすれば、被控訴人(国税)の主張は採用することができない。」との判決を出しました。国税の上告に対して最高裁は高裁判決を支持し上告不受理の決定を行いました。

 従来、税務調査で「事業に直接関係がない」という理由で安易に必要経費の否認が行われていました。個人事業者の必要経費になるかの判断基準として、直接であれ間接であれ「業務遂行上必要か否か」という基準が認められたことは画期的であり、非常に重要な判断であったと思います。

 必要経費について所得税にある「直接に要した」は法人税にはありません。この文言があるばかりに調査時に経費否認が安易に行われているとの思いがありましたので、私は税理士会に改正意見(建議といいます〉を提出したことがあります。適正公平課税実現のために正しい判断が下されたと喜んでおります。
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