信じられない国税不服審判所の裁決を目にしましたので、平成30年12月6日の行われた「税理士会と高田税務署との事務連絡会議」の席上、私が意見として発言したものです。
平成30年2月7日の裁決 (非公開裁決)
【事案】
ある会社の調査で1人の社員の扶養控除申告書が2年間提出されていないことが判明しました。指摘を受けた会社は、書類を作成して不備の補完を調査担当者に伝えたところ、2か月後乙欄課税すべきと告知処分がされた、という事案です。
【問題点】
審判所の判断ではなく、告知処分に正当性があるか疑問があります。
【理由】
源泉徴収制度は、源泉徴収義務者の協力によって成り立っている制度です。
更には、本来の正しい税額は納付済みです。調査の目的である「適正公平な課税の実現」という見地から必要性、合理性はあるのでしょうか。単なる書類の不備です。
法令解釈の通説である「文理解釈を重視し、その結論が社会通念に照らして結果的妥当性を欠く場合には、論理解釈を行う」ということから今回の事例を考えると、社会通念上の妥当性を欠いていると判断されますし、立法趣旨も乙欄課税を求めているとは思えません。
【私見】
行政には法律を執行するうえで裁量権があります。今回の事案は是正を求めるのではなく指導で対応すべきものと考えます。
血が通わない法律の執行は、行政に対する信頼を失う結果になると考えます。
上記の事案等読んだ感想は如何でしょうか。
法律に携わる方が身に受けていなければならないリーガルマインドが欠如していると思われます。法律の解釈の結果が社会常識からかけ離れている場合は、解釈が間違っている場合が多いと思います。